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2025.10.04
モノとコストが増えにくい家づくり

アパートやマンションに住む子育て世代が最も悩まされるのは
「収納不足」です。
しかし、新築住宅で収納を過剰に設けると、
今度は2つの新たな問題が発生します。
1つ目は コストの増加 です。
収納を増やせば床面積が拡大し、それに比例して建築費も上昇します。
2つ目は モノが増えやすくなる という問題です。
人は空白を埋めたくなる習性を持っているため、
収納が余れば余計な物を置いてしまいがちです。
これは「買い物カゴを持つと、必要以上に商品を入れてしまう」
のと同じ心理です。
したがって、収納は「足りないと困るが、作りすぎても問題を生む」
という性質を持っています。
家づくりでは、このバランスを見極めることが重要なのです。
おはようございます
Tsumugu Houseの新内です。
収納計画の焦点は「管理のしやすさ」
収納を計画する際の最大のポイントは、管理のしやすさです。
たとえば、アパートやマンションによくある「押入れ型の奥行きが深い収納」。
これは布団の収納には適していますが、
リビングやキッチン周辺では機能的ではありません。
日常で使う物に“奥行き”は不要だからです。
奥行きが深い収納は、手前に物を置くと奥の物が取り出しにくくなり、
「存在を忘れて同じ物を再購入する」という悪循環を引き起こします。
そこで有効なのが、奥行きを半分にして幅を2倍にする という考え方です。
- 床面積を増やさずに収納量を2倍にできる
- 物が重ならず、管理がしやすくなる
- 棚板を増やすことでさらに効率的に収納できる
この方法を採用すれば、コストを増やすことなく収納効率を3倍、
4倍と高めることが可能です。
結果として「管理のしやすさ」と「無駄な出費の防止」を両立できます。
廊下をなくすという発想
収納計画を合理的に行っても、
それを一瞬で無駄にしてしまうのが 通り抜け動線=廊下 です。
- 通路ができる → 壁が減る
- 壁が減る → 棚をつくれない
- 棚がつくれない → 収納が減る
この連鎖によって、本来確保できるはずの収納量が失われます。
もちろん通り抜け動線は生活を便利にしますが、
その利便性は「収納を減らしてまで得る価値があるのか」
を冷静に検討する必要があります。
収納不足を補うために別途収納を設ければコストアップに直結しますし、
その予算を削れば結局収納不足という本末転倒に陥る可能性もあるのです。
まとめ
収納は「多ければ多いほど良い」というものではありません。
管理のしやすさを基準に、床面積を増やさずに効率的に設けること、
そして廊下など収納を奪う要素を慎重に検討することが、
結果的にコストとモノの両方を抑える家づくりにつながります。
これから図面をご覧になる際は、単純な収納量ではなく
「効率性」と「コストバランス」に注目していただければと思います。
それでは・・・。