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2025.10.01

ズボラな人に優しい家づくり

ズボラな人に優しい家づくり

ズボラな人に優しい住宅設計とは

掃除や片付けが得意かどうかは「性格の問題」
と言われることもあります。
しかし、住まいの設計によって
掃除や整理の負担を軽減できるのは確かな事実です。
建築計画の段階で「散らかりにくい」「埃が溜まりにくい」
といった仕組みを組み込むことで、
居住後のメンテナンス性が格段に向上します。

今回は、掃除や片付けが苦手な方にとっても
日々の暮らしを快適にする設計上の工夫について解説します。

1. 散らかりにくい間取り計画

リビングが散らかる大きな要因は「子供の持ち物」と「収納不足」です。
これを解決するには以下の2点が有効です。

  1. 子供部屋を1階に配置する
    小さな子供は2階の居室をほとんど使用せず、
    リビング周辺に玩具や学用品が集まりやすくなります。
    そのため、生活動線上でアクセスしやすい1階に子供部屋を設けることで、
    散らかりを最小限に抑えることが可能です。
    水平移動で完結する配置は、日常の片付け効率にも直結します。

  2. キッチン背面に大型パントリーを設置する
    食材や日用品を背面収納に集約することで、
    キッチン周辺に物が溢れにくくなります。
    さらに冷蔵庫がリビングから視認されにくい位置に配置できれば、
    生活感を遮断しやすく、空間全体が整然とした印象になります。
    また、文房具や衛生用品などリビングで使用する細かい物品も
    まとめて収納できるため、利便性と美観を両立できます。

加えて、キッチン前カウンターに物を置けない仕様にすることも有効です。
腰壁カウンターは「仮置きスペース」になりやすく、
結果として生活感を増幅させる要因となるため、
意図的に置き場を作らない設計が望ましいでしょう。

2. 埃が溜まりにくいディテール設計

埃対策は「埃の堆積箇所をなくす設計」が基本です。

  • 室内ドア
    標準的な高さ2mのドアは上枠に埃が溜まります。
    ハイドア(天井高までのドア)を採用すれば、
    見た目がすっきりすると同時に清掃の手間も削減可能です。
  • 窓・カーテン
    窓枠やカーテンレールは埃の堆積要因です。
    窓枠を極力省略し、磨りガラスや高所窓を用いることで
    カーテンを不要にすれば、
    埃の付着箇所そのものを削減できます。
  • ニッチ(飾り棚)
    インテリア性は高いものの、埃が溜まりやすく清掃が煩雑になるため、
    設置は必要最小限にとどめるべきです。
  • キッチン前カウンター
    水気や油分と埃が混ざり固着するため、
    清掃性の観点からも「物が置きにくい構造」が理想的です。

さらに、階段の存在も掃除の負担を増大させる要素です。
踏板、幅木、手摺、金具部分など埃が溜まりやすく、
清掃が煩雑になります。
したがって、平屋建てとすることは「バリアフリー性」だけでなく
「メンテナンス性」の観点からも合理的な選択肢といえます。

まとめ

掃除や整理のしやすさは、住まいの設計によって大きく左右されます。
「散らかりにくい間取り」と「埃が溜まりにくいディテール」
をあらかじめ取り入れておくことで、居住後の清掃負担を大幅に軽減でき、
結果として空間の美観や居住性を長期的に維持することが可能です。

次回は「ものが増えにくい仕組み」について解説します。

それでは・・・。