
ブログ
2025.05.31
農地に家を建てる場合の注意点

【実家の土地、使える?】
農地を宅地に変えて家を建てる際の注意点と費用の話
こんにちは。
岡山で建築家と建てるデザイナーズ住宅を手がけている
Tsumugu House(ツムグハウス)の新内です。
近年、建築費の高騰が続いています。
コロナ前と比べて建築費が30%以上上がっており、さらに資材価格も右肩上がり…。
そんな背景から、
「土地代を抑えられないか…」
「実家の田や畑を活用できないかな?」
とご相談をいただくことが増えてきました。
特に土地代だけで1,000万円前後のコストがカットできる可能性があるとなると、それは大きな魅力ですよね。
■ でも、農地をそのままでは家は建てられない
実際は、
- すでに古家がある土地を解体して使う
- 実家の農地(田んぼや畑)を造成して使う
このどちらかになることが多く、今回は後者=農地を造成して家を建てるケースについて、注意点と費用の目安をお伝えします。
✔ まずは“地域区分”を確認しよう
農地といっても、どこでも家が建てられるわけではありません。
特に確認が必要なのが、
✅ 「市街化調整区域」かどうか
この区域は農業を推進する地域に指定されており、原則として家を建てることはできません。
✅ 「農業振興地域」に含まれているかどうか
この区域に含まれている場合は、まずその地域から“除外申請”が必要。
- 年2回の受付
- 申請〜許可までに半年以上かかることも
つまり、最短でも8ヶ月〜1年近く造成に着手できない可能性があります。
「すぐ建てたい」という方にとっては大きなハードルです。
✔ 宅地化にかかる費用の目安
農地を宅地に変えるには、次のような費用が必要になります。
① 申請・測量・分筆関連費用
- 行政書士や土地家屋調査士への報酬
- 測量や図面作成を含めて
➡ 50万円前後
② 水道の引き込み工事
- 水道加入金+引込工事費
➡ 約50万円
※前面道路に水道がなければ、100万円単位の追加費用が発生する可能性もあるので、市役所での事前調査が重要です。
③ 造成工事費
- 擁壁や基礎工事
- 表層土の除去+処分
- 新しい土の搬入
➡ 造成面積 × 3万〜4万円/坪
【例】
60坪の場合:180〜240万円
80坪の場合:240〜320万円
✔ 合計でどのくらい必要?
ケースにもよりますが、
農地を宅地に変えて家を建てるには、
おおむね300万〜400万円前後を想定しておくと安心です。
土地を“タダ”で使えるように見えても、こうした隠れた費用は意外と大きいんですね。
■ 農地活用は、早めの相談がカギ!
とはいえ、土地代をまるごとカットできる可能性はやはり大きく、
「実家の田んぼや畑を使えるかも…」という方は、検討する価値は十分にあります。
その際は、ぜひ以下のポイントを早めにチェックしておきましょう。
- 地域区分(市街化調整区域/農業振興地域)
- 水道の有無と引き込み距離
- 造成の難易度と地形
- 所要期間と希望時期とのギャップ
✔ まとめ
実家の農地を活用して家を建てるには、
- 法的な手続き
- インフラ整備
- 造成工事
など、通常の土地購入とは異なるポイントが多々あります。
でも、事前の調査と計画をしっかり行えば、
土地代を抑えて“希望のエリアで家づくり”ができる可能性がぐっと広がります。
Tsumugu Houseでは、こうした農地転用や実家活用に関するご相談も随時承っています。
「これって建てられるの?」「いくらぐらいかかりそう?」
といった段階からでも、お気軽にお声かけください。
それではまた。
—
Tsumugu House(ツムグハウス)
代表:新内 芳之